二相鋼製管板の耐硫化性能

二相鋼製管板（例：2205/S32205）は、硫黄を含む環境において優れた耐硫化水素応力腐食（SSC）性能を示し、その臨界応力値は316Lオーステナイト系ステンレス鋼よりも3倍以上高いです。これは、二相構造におけるフェライト相の高強度とオーステナイト相の耐食性の相乗効果によるもので、水素誘起割れ（HIC）を効果的に抑制できます。

窒素含有量（0.08～0.20%）と硬度（≤22HRC）を制御することで、耐硫化性能をさらに向上させることができます。実際の使用においては、475℃脆性区間を避ける必要があり、推奨使用温度は≤250℃です。

典型的な事例として、2205二相鋼製管板は、H₂Sを含む油ガス分離器において10年間安定して稼働しており、応力腐食割れは発生していません。その総合コストはニッケル基合金よりも40%低く、酸性環境における最適な材料です。